不動産担保ローンが返済不能になるとどうなる?売却されるまでの流れと対策を解説

不動産担保ローンは、不動産を担保に融資を受けるローンです。
無担保ローンと比べて、高額・低金利での借入れが可能です。また、長期で借入れできる傾向がありますが、万が一返済ができなくなると、最終的には不動産を手放すことになります。
本記事では、不動産担保ローンが返済不能になったときに起こること、不動産が売却されるまでの流れを解説します。不動産を失わないためにできる対策も解説するので、ぜひご覧ください。
不動産担保ローンが返済不能になるとどうなる?
不動産担保ローンの返済ができなくなると、担保不動産が売却され、その売却代金で債権が回収されます。担保とは、返済不能になった場合の返済を保証するために、あらかじめ債務者が債権者に差し出すものです
不動産担保ローンで借入れする際、金融機関が担保となる不動産に抵当権を設定します。抵当権は、債務者(ローン利用者)が返済できなくなった場合に、他の債権者に先立って弁済を受けられる権利です。
債務者(ローン利用者)が返済不能になると、抵当権者(金融機関)は競売申立てによって抵当権を実行し、その売却代金から元金と利息を回収します※。
つまり、不動産担保ローンが返済できなくなると、担保不動産を手放さなくてはなりません。
※競売とは、債権者の申立てにより債務者の不動産を差し押さえて売却する手続きです。不動産担保ローンについて確認
不動産担保ローンとは、不動産を活用して融資を受ける有担保ローンです。不動産を担保とすることで、無担保ローンと比べて低金利かつ高額な融資が受けられます。また、借入期間を長く設定できる傾向があります。
たとえば、AGビジネスサポートの「不動産担保ビジネスローン」など、借入期間を最長30年に設定できる金融機関もあります。
いっぽう、不動産担保ローンは、担保不動産の価値を評価する必要があるため、無担保ローンと比べて借入れに時間がかかる傾向があります。また、返済できなくなると不動産を失うリスクがある点に注意が必要です。
不動産担保ローンが返済不能となったあとの流れ
不動産担保ローンの返済ができなくなった場合、最終的には担保不動産が競売にかけられます。ただし、返済に遅れたからといってすぐに不動産を失うわけではありません。
不動産担保ローンが返済不能になったあとの一般的な流れは、以下のとおりです。
- 電話などで督促がおこなわれる
- 督促状や催告書が届く
- 期限の利益喪失の通知が届く
- 代位弁済通知が届く
- 差押通知や競売開始決定通知が届く
- 競売にかけられる
電話などで督促がおこなわれる
不動産担保ローンの返済に遅れると、金融機関から電話やメールなどで連絡がきます。
口座への入金を忘れているケースも考えられるため、いきなり厳しい督促がおこなわれるわけではありません。返済を忘れていないか、いつ返済できるかなどが確認されます。正直に事情を話し、返済できる日にちなどを伝えましょう。
振替不能は不渡りと同義となります。信用力が低下してしまうので、口座管理は徹底しましょう。
督促状や催告書が届く
返済に遅れてから数ヶ月経っても滞納が続く場合、電話での督促と前後して金融機関から督促状や催告書が届きます。
督促状は、返済を促すために送付される文書のことで、支払わなくてはならない金額や期限などが記載されています。いっぽう、催告書は、より強く返済を迫るものです。一般的に、法的手続きを取る旨が記載されます。内容証明郵便で送付されるため、「見ていない」とごまかすことはできません※。
また、滞納が数ヶ月続くと信用情報に事故情報として登録され、クレジットカードやローンの契約が難しくなります。
※内容証明郵便とは、どのような内容の文書が誰から誰宛てに差し出されたのかを証明する郵便制度のことで、ポスト投函ではなく手渡しで届けられます。期限の利益喪失の通知が届く
督促状や催告書に記載された期限までに返済できないと、期限の利益喪失の通知が届きます。
期限の利益とは、契約書で決められた期限までは、債務を履行しなくてもよい、債務者側にとっての利益のことです。契約で定められたとおりに返済していれば、最終返済期日までに全額返済を請求される心配はありません。
しかし、期限の利益を喪失すると、ただちに債務の全額を一括返済しなければなりません。
代位弁済通知が届く
一括返済の請求に応じなかった場合、「代位弁済通知」が届きます。
代位弁済とは、保証会社が債務者(ローン利用者)に代わって債権者(金融機関)に一括返済することです。代位弁済が行われたあとは、保証会社から債務を一括返済するよう請求されます。代位弁済されても、返済義務がなくなるわけではありません。
なお、代位弁済通知が届くのは不動産担保ローンで保証会社を利用している場合に限ります。
差押通知や競売開始決定通知が届く
一括返済できなければ、差押通知や競売開始決定通知が届きます。競売開始決定通知は、債権者が裁判所に競売を申し立て、その申立てを裁判所が受理した旨を知らせる文書です。
つまり、競売開始決定通知が届けば、競売手続きに入ったことを意味します。
競売にかけられる
不動産が差し押さえられると、競売に向けて執行官による不動産の現況調査などの手続きが進められます。
裁判所によって売却基準価額が決定されると、入札が行われ、落札者が決まります。落札者が期限までに代金を納めると、不動産の所有権が落札者に移転する流れです。
競売にかけられると、その不動産に住んでいた方は退去しなければなりません。期日までに退去しなければ、強制退去させられます。
不動産担保ローンで不動産を失わないための対策

不動産担保ローンは、長期間の借入れが可能なローン商品です。毎月の返済負担を抑えられるいっぽうで、返済期間中に返済が難しくなってしまう可能性もあります。
不動産担保ローンが返済できなくなり、不動産が売却されてしまうのを防ぐためにできる対策を解説します。
- 無理なく返済できる金額借入れする
- 連帯保証人を立てる
- 余裕があるときは繰り上げ返済する
- 返済が難しいときは金融機関に相談する
- 任意売却を検討する
無理なく返済できる金額を借入れする
確実に返済できるように、無理のない金額を借入れしましょう。
不動産担保ローンは不動産を担保にするため、無担保ローンと比べて高額の借入れが可能です。しかし、借入金額が高額なほど、返済負担も大きくなります。
借入れの際は、返済シミュレーションを利用し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
連帯保証人を立てる
連帯保証人を立てる方法もあります。連帯保証人とは、債務者が返済しないときに、代わりに返済することを約束した保証人です。
ただし、連帯保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」の3つがありません※。したがって、主債務者(ローン利用者)が返済しない場合、債権者(金融機関)は連帯保証人へ直接返済を請求できます。
連帯保証人は主債務者と同等の責任を負わなくてはならないため、慎重な検討が必要です。
なお、審査の結果によって金融機関から連帯保証人を求められる場合もあります。ただし、連帯保証人をたてても必ずしも担保不動産を維持することにはなりません。保証人がいても、不動産を売却して残債務を回収するなど債権者の個別判断となります。
※保証人が債務の履行を請求されたときに、先に主債務者に返済を請求するよう請求できる権利が「催告の抗弁権」、先に主債務者の財産から執行するよう要求できる権利が「検索の抗弁権」です。また、「分別の利益」とは、保証人が複数いる場合に、保証人の人数で按分した金額だけを負担すればよい権利です。余裕があるときは繰り上げ返済する
手元資金に余裕があるときは、繰り上げ返済を利用しましょう。期日よりも早めに返済すれば借入期間を短縮でき、総返済額を抑えられます。
ただし、不動産担保ローンによっては繰り上げ返済に手数料や違約金がかかる場合があるため、事前の確認が必要です。
返済が難しいときは金融機関に相談する
返済が難しいと分かった時点で金融機関に相談しましょう。金融機関からの連絡をそのままにしておくと事態は悪化し、競売に向けた手続きが進みます。
金融機関に相談すれば、支払期限の延長などに応じてもらえる可能性があります。早い段階で相談し、返済が難しい事情や返済できる日にちを正直に伝えましょう。
任意売却を検討する
不動産担保ローンが返済不能となった場合、競売にかけられる前に任意売却する方法もあります。
任意売却とは、返済が困難になった場合に、債権者(金融機関)の同意を得て法的手続きによらず売却する方法です。強制的に売却される競売とは違い、債務者の意思で進められます。
競売にかけられたときの売却価格は、一般的に市場価格の7割程度です。いっぽう、任意売却は多くの場合、市場価格に近い価格で売却できます。
「AGビジネスサポート」の事業者様向け不動産担保ローンは繰り上げ返済が可能
「AGビジネスサポート」は、法人様・個人事業主様向けに2種類の不動産担保ローンを提供しています。
「不動産担保ビジネスローン」は、最高5億円まで融資が可能です。手元資金に余裕があるときは、繰り上げ返済が行えます※1。
利用限度額の範囲で繰返し借入れいただける「不動産担保カードローン」は、最高5,000万円(個人事業主は2,000万円以下)まで融資が可能です。また、全国のセブン銀行ATMでいつでも返済できます。※2。
不動産担保ローンに関するご相談なら、ぜひAGビジネスサポートにお問合せください。
※1支払期日前に返済約定を超える元金の一部または全部の返済を行う場合は、支払期日前返済元金に2.00%を乗じた額の早期返済違約金がかかります。※2セブン銀行ATMでの返済は、取引金額が1万円以下なら110円、1万円超なら220円のATM利用手数料がかかります。
まとめ
不動産担保ローンは、不動産を担保として差し出すことで融資を受ける仕組みです。返済ができなくなり、督促や一括返済の請求を受けても支払えない場合、担保不動産が売却され、その売却代金が返済に充てられます。
不動産担保ローンを利用する際は、事前に返済計画を立て、無理なく返済できる金額を借入れすることが大切です。万が一返済が難しいときは、なるべく早い段階で金融機関に相談しましょう。
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- 監修者
- 竹下 昌成(たけした あきなり)
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/