ファクタリングの審査で信用情報は影響しない?理由や通過のポイントを解説

ファクタリングを利用するためには、審査に通過する必要がありますが、信用情報の照会は基本的に行われません。ファクタリングは、売掛債権を売却して資金を調達する仕組みであり、融資とは異なるためです。
本記事では、信用情報の基本やファクタリングとの関係を解説します。ファクタリングの審査に落ちる理由や通過のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
信用情報とは
信用情報とは、ローンやクレジットカードの申込みや契約、返済状況などの取引事実を登録した情報のことです。ローンやクレジットカードの申込みを受けた金融機関が、利用者の信用を判断するための資料として利用します。
信用情報は、内閣総理大臣から指定を受けた「信用情報機関」によって管理されています。
信用情報機関とは
信用情報機関は、信用情報の収集・提供を行う機関です。国内には以下の3つの機関があり、それぞれ加盟する会員や保管する情報の種類、期間などが異なります。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
また、3つの信用情報機関は「FINE(※)」「CRIN」「IDEA」というネットワークを通じて情報交流をしており、信用情報の一部(借入残高や延滞情報など)は3機関で共有されています。
(※)FINEは、CICとJICC間のみのネットワークです。
CIC(株式会社シー・アイ・シー)
CIC(株式会社シー・アイ・シー)は、クレジット会社が共同出資して設立した信用情報機関です。
割賦販売法・貸金業法に基づく指定信用情報機関として指定を受けており、主にクレジット会社や信販会社、消費者金融などが加盟しています。加盟会員数は、2025年3月時点で809社です。
JICC(株式会社日本信用情報機構)
JICC(株式会社日本信用情報機構)は、貸金業法の定める指定信用情報機関であり、主に消費者金融系の信用情報を扱っています。
1,257社(2025年5月末時点)と会員数が多く、消費者金融やクレジット会社、信販会社などが加盟しています。
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
KSC(全国銀行個人信用情報センター)は、一般社団法人全国銀行協会が設置・運営している個人信用情報機関です。
銀行や信用金庫、農業協同組合などの金融機関のほか、政府系金融機関や信用保証協会などが加盟しています。会員数は、2025年3月末時点で1,035会員です。
ファクタリングの審査で信用情報が照会されない理由
ファクタリングの審査では、基本的に信用情報の照会が行われません。その主な理由は以下のとおりです。
- 債権の売買であるため
- 売掛先の信用力が重視されるため
債権の売買であるため
第一の理由は、ファクタリングが売掛債権を売却して資金を調達する方法であるためです。
金融機関からお金を借りる際には、返済能力があるかどうかを見極めるため、必ず信用情報の照会が行われます。
しかし、ファクタリングは売掛債権をファクタリング会社に売却して資金化する仕組みであり、「融資」とは異なります。そのため、審査は必要ですが、一般的に信用情報の照会が行われません。
関連記事:ファクタリングと融資の違いとは?各資金調達手段のメリット・デメリットも解説
売掛先の信用力が重視されるため
ファクタリングの審査では、売掛先の信用力が重視される傾向があります。ファクタリングは売掛債権を売却して資金化する仕組みであり、ファクタリング会社にとっては「売掛債権を回収できるかどうか」が重要となるためです。
利用者の信用力も審査項目のひとつですが、長期にわたって返済していく融資とは異なり、財務状況の詳細な調査や信用情報の照会は一般的に行われません。
したがって、以下のような場合もファクタリングを利用できる可能性があります。
- 税金の滞納がある
- 赤字決算・債務超過である
- 開業して間もない
ファクタリングの利用状況は信用情報に登録される?
金融機関からお金を借りると、申込履歴や契約内容、返済状況などが信用情報として登録されます。
しかし、ファクタリングは融資とは異なるため、信用情報の登録が行われません。そのため、将来的に金融機関からの融資を検討している場合も、信用情報に影響を与えることなく資金を調達できます。
ただし、ファクタリングの支払いが遅れると遅延損害金が発生するなどの影響が生じる点には注意しましょう。
ファクタリングの審査に落ちる理由

ファクタリングは、申込者自身の信用力に左右されにくい資金調達方法ですが、審査に通過できないケースもあります。この章では、審査に落ちる一般的な理由を解説します。
- 売掛先の経営状況がよくない
- 売掛債権の回収サイトが長い
- 利用者の信用力に問題がある
- 架空債権や二重譲渡の疑いがある
なお、審査基準は公開されておらず、さまざまな要素から総合的に判断されるため、正確には把握できません。
売掛先の経営状況がよくない
売掛先の業績が悪化したり、倒産したりして売掛債権が回収できなくなると、ファクタリング会社に損失が生じます。
そのため、売掛先の経営状況や支払能力などから未回収リスクが高いと判断された場合、審査に通過できない可能性があります。
売掛債権の回収サイトが長い
売掛債権の支払期日までの期間が長いと、審査のハードルが高くなる傾向があります。回収までの期間が長いほど、社会情勢の変化や売掛先の資金繰りの悪化などによって未回収となるリスクが高まるためです。
ファクタリング会社によっては、買取可能な請求書について「支払期日までの期間」に上限を設けている場合もあります。
利用者の信用力に問題がある
ファクタリングの審査では、一般的に売掛先の信用力が重視されますが、利用者自身の信用力が影響しないわけではありません。特に、2社間ファクタリングでは、利用者が売掛先から売掛債権を回収してファクタリング会社に支払うため、利用者の信用力も重視されます。
たとえば、事業者としての資質に問題がある場合や税金を滞納している場合などは、審査に通過できないケースもあります。
架空債権や二重譲渡の疑いがある
架空債権や二重譲渡の疑いがあると判断されると、審査を通過できない可能性が高くなります。
架空債権 | 実際には存在しない架空の売掛債権 |
二重譲渡 | すでに売却済みの売掛債権を売却しようとすること |
架空の売掛債権を捏造して持ち込む、あるいは同一の売掛債権を複数のファクタリング会社に売却すると、審査を通過できないだけでなく、詐欺などの犯罪行為に該当し、処罰の対象となります。
ファクタリングの審査に通過するためのポイント
審査に通過するためのポイントを知っていれば、申込前に対策を講じることができます。スムーズに資金を調達するために、以下の3点を押さえましょう。
- 信用度の高い売掛債権を選ぶ
- 取引実績の長い売掛先の売掛債権を選ぶ
- 3社間ファクタリングを選ぶ
信用度の高い売掛債権を選ぶ
ファクタリングに申込む際は、できるだけ信用度の高い売掛債権を選びましょう。信用度の高い売掛債権はファクタリング会社にとって未回収リスクが低く、審査に通過しやすくなったり、より有利な条件が提示されたりする可能性があるためです。
一般的に、国や地方自治体などの公的機関の売掛債権や、支払期日までの期間が短い売掛債権は、未回収リスクが低いと判断されやすい傾向があります。
なお、個人事業主を請求先とする売掛債権は、信用力が十分でないとみなされて通過できない可能性があります。実際に、法人を請求先とする売掛債権のみを買取対象とするファクタリング会社も少なくありません。
取引実績の長い売掛先の売掛債権を選ぶ
ファクタリングを利用する際は、なるべく取引実績の長い売掛先の売掛債権で申込むのが望ましいでしょう。
長期にわたる継続的な取引は、経営が安定していると判断する材料のひとつとなります。また、利用者と売掛先との間で信頼関係が築かれている証でもあり、未回収のリスクが低いと判断されやすい傾向があります。
3社間ファクタリングを選ぶ
信用力に不安がある場合は、3社間ファクタリングを選ぶのも有効な手段です。
ファクタリングの取引形態には、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングがあります。
3社間ファクタリング | 利用者・ファクタリング会社・売掛先の3社間で契約を結ぶ取引形態 |
2社間ファクタリング | 利用者とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶ取引形態 |
3社間ファクタリングでは、売掛先が直接ファクタリング会社に売掛債権を支払うため、利用者の信用力に不安がある場合でも、売掛先の信用力が高ければ審査に通る可能性が高まります。ただし、3社間ファクタリングを利用するためには、売掛先の承諾が必要です。
ファクタリングで資金調達するメリット
ファクタリングで資金調達する主なメリットは、以下のとおりです。
- 信用情報に問題があっても利用できる可能性がある
- 最短即日で資金化できる
- 負債を増やさずに資金調達できる
ファクタリングの審査では、一般的に信用情報の照会が行われません。売掛先に重点をおいた審査が実施されるため、経営状況や信用情報に不安がある場合や、金融機関から融資を受けるのが難しい場合でも利用できる可能性があります。
また、融資とは異なり、売掛債権の売却であるため、財務諸表上の負債を増やすことなく資金を調達できる点もメリットのひとつです。原則として担保や保証人なしで利用でき、ファクタリング会社によっては最短即日で資金化できる場合もあります。
AGビジネスサポートのファクタリングは最短即日の現金化が可能
借入以外の方法で資金を調達したい事業者さまは、AGビジネスサポートの売掛債権ファクタリングをご検討ください。
AGビジネスサポートのファクタリングは、担保や保証人なしで利用でき、信用情報機関の照会や登録もありません。過去に1度でも入金実績がある売掛先で、かつ支払いが確定している請求書があれば申込みいただけます。
赤字・債務超過の場合や起業したばかりの方、金融機関で融資の審査にとおらなかった場合でも、買取の検討が可能です。
さらに、AGビジネスサポートでは、請求書1枚・10万円から最短即日の資金化が可能です(※)。売掛債権をお持ちの国内法人さま・個人事業主さまは、ぜひご検討ください。
(※)査定状況によっては翌営業日以降のご連絡となる可能性がございます。
ファクタリングに関するQ&A
ファクタリングの審査や信用情報への影響が不安な方に向けて、よくある質問を紹介します。
審査の甘いファクタリングはある?
ファクタリングは、利用者自身の信用力に左右されにくい資金調達方法ですが、審査が甘いわけではありません。売掛債権を回収できるかどうかを見極める、あるいは詐欺などのトラブルを回避するため、さまざまな情報をもとに審査が行われます。
関連記事:審査が甘いファクタリング業者はある?審査の流れや通すためのコツを紹介
ファクタリングを利用すると他のファクタリング会社にも知られる?
ファクタリングは融資とは異なり、信用情報機関への登録が行われないため、複数社のサービスを利用しても他社に知られることは基本的にありません。
ただし、複数のファクタリングを利用する際は、同一の売掛債権を売却してしまわないように請求書の管理を徹底する必要があります。すでに他社で売却した売掛債権を譲渡する行為は「二重譲渡」であり、重大な不正行為です。
ファクタリングは借入れ以外の資金調達手段として有効
ファクタリングは、借入れ以外の方法で資金を調達したい場合に有効な手段のひとつです。
融資とは異なり、売掛債権の売買であるため、一般的に信用情報の照会や登録がありません。そのため、信用情報に不安がある場合や金融機関から融資を受けるのが難しい場合でも、資金を調達できる可能性があります。
ただし、ファクタリングを利用する際には審査が必要であり、売掛先や利用者自身の信用力などによっては通過できないケースもあります。審査のポイントを押さえ、対策したうえで申込みましょう。
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- 監修者
- 竹下 昌成(たけした あきなり)
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/