不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いは?メリットとデメリットも解説

不動産担保ローンとリバースモーゲージは、不動産を担保にした資金調達法として知られています。持ち家を担保にできる共通点から似ていると思う方もいるかもしれませんが、両者の仕組みには大きな違いがあります。
不動産を活用した資金調達を検討している場合、それぞれの仕組みを理解して違いを知ったうえで、ご自身に適した選択をしましょう。
この記事では、不動産担保ローンとリバースモーゲージの仕組みや違いなどを詳しく紹介します。
不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い
不動産担保ローンとリバースモーゲージは、どちらも不動産を担保とするローン商品です。
リバースモーゲージは通常自宅を担保としますが、不動産担保ローンは自宅以外に所有している不動産を対象とすることが一般的です。ただし、自宅を担保とすることも場合によっては可能です。
また不動産担保ローンは、特に自宅を担保とした場合、貸主が銀行か貸金業者か、また借主が個人か個人事業主・法人かといった点でも扱いが異なります。
以下の表では、特に混同しやすい、自宅を担保とした場合の不動産担保ローンとリバースモーゲージの大まかな違いを紹介します。
ただし商品によって詳細が異なるため、検討している場合は公式HPなどで確認しましょう。
不動産担保ローン (賃金業者) |
不動産担保ローン (銀行) |
リバースモーゲージ | |
---|---|---|---|
対象者 | 個人/個人事業主・法人向けの商品がある | 個人/個人事業主・法人向けの商品がある | 個人(高齢者)向けの商品 |
年齢制限 | 商品によって、20歳以上や完済時の年齢の設定があるが柔軟に対応できるケースもある | 借入時の年齢満20歳以上の場合が多く、商品によっては完済時年齢の設定がある | 50歳以上や60歳以上など年齢制限がある |
借入金の使いみち | 原則自由 | 原則自由(事業資金は使用できない商品もある) | 生活費や住宅関連費などに限定される場合もある |
融資限度額の目安 | 総量規制(個人事業主・法人は対象外)の範囲内で、評価額の60~80% | 担保余力の範囲内で、評価額の60~80% | 不動産評価額の50%~60% |
返済方法 | 定められた期間内に元金と利息を返済する | 定められた期間内に元金と利息を返済する | 契約者が生存中は利息のみの支払い(または支払いなし)で、亡くなったときに担保不動産の売却により一括返済 |
不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いを理解するために、それぞれの仕組みを確認しましょう。
不動産担保ローンの仕組み
不動産担保ローンとは、持ち家に限らず、さまざまな不動産を担保として融資を受けるローンです。家族や親族などの名義でも、本人の同意があれば担保不動産の対象となる場合もあります。
融資金額は、担保としての物件の価値と申込者の返済能力から決定されます。市場価値の高い不動産を担保にするため、フリーローンやカードローンなどの無担保ローンに比べると金利が低く、返済期間は20~30年ほどと長めに設定される傾向があります。また、最大1億円までなど、一度でまとまった資金を準備できるのが特徴です。
高額な融資を実現できるローンでありながら、保証人を不要とする商品が一般的です。
ただし上の表でもご紹介した通りで、もし自宅を担保に不動産担保ローンを利用したい場合、貸主が銀行か貸金業者か、また、借主が個人か個人事業主・法人かによっても対応が異なるため注意が必要です。
貸金業者が融資を行う場合、借主が個人のときは自宅を担保としたローンであっても総量規制の対象となり、年収の3分の1を超える融資は受けられません。
ただし、借主が個人事業主のときは、事業計画から返済能力があると認められた場合には総量規制の対象から外れ、返済能力の範囲内で年収の3分の1を超える融資も可能です。法人は総量規制の対象外です。
リバースモーゲージの仕組み
リバースモーゲージとは、自宅を担保として、主に老後の生活資金不足を補う目的から利用されるローンです。そのため、申込条件に50歳以上や60歳以上などの年齢制限が設けられています。
「リバース」は「逆」、「モーゲージ」は「抵当(抵当権)」を意味しており、一括でまとまったお金を借入れて毎月少しずつ返済する住宅ローンとは逆に、年金形式あるいは一括で融資を受け、契約者が亡くなったときに担保とした自宅の売却によって一括返済します。
リバースモーゲージは、民間の金融機関のほか、各自治体の社会福祉協議会による「不動産担保型生活資金」と呼ばれる公的な制度もあります。
ただし、公的制度は非課税世帯などの低所得者層や戸建住宅所有者に限定されるほか、推定相続人から連帯保証人を立てる必要があるなど、民間よりも制約を受ける傾向にあります。
不動産担保ローンとリバースモーゲージのメリット・デメリット

不動産担保ローンとリバースモーゲージの基本的な仕組みがわかっても、どちらのローンが自分の状況に適しているか判断が難しいと感じる方も多いでしょう。それぞれのメリットとデメリットを知れば、検討材料として役立ちます。
ここでは、不動産担保ローンとリバースモーゲージのメリットとデメリットを具体的に紹介します。
不動産担保ローンのメリット・デメリット
【不動産担保ローンのメリット】
- 1度でまとまった資金を準備できる
- 担保がある分、金利が低めの傾向にある
- 原則使途自由
不動産担保ローンのメリットは、金利を抑えながら担保となる物件に見合う高額な融資を受けられる点でしょう。
また、借入金の使いみちが原則自由であるため、自身の目的に応じて柔軟に使用することができます。
【不動産担保ローンのデメリット】
- 返済不能になれば持ち家を手放さなければならない
- 担保となる不動産に条件がある場合も多い
- 繰上返済に手数料がかかる
自宅の住み替えやリフォーム、教育資金、老人ホームへの入居費用など、まとまった資金を自由に使える利便性のいっぽうで、返済不能に陥ると担保とした不動産を手放さなくてはなりません。自宅を担保にしていれば、住まいの問題が生じるでしょう。
なお前述した通り、個人が自宅を担保とした場合、総量規制の対象となるため、年収の3分の1を超える融資が受けられません。個人事業主は、返済能力が認められると総量規制の対象から外れる場合もあります。
また、不動産の売却代金でも残債を払いきれない場合には、手持ちの現金で返済する必要があります。
リバースモーゲージのメリット・デメリット
【リバースモーゲージのメリット】
- 担保とした自宅で暮らしながら融資を受けられる
- 生存中の返済は利息のみの返済、あるいは返済なしと負担が少ない
- 配偶者は契約を引き継げる商品が多い
融資を受けながら住み慣れた自宅で生活を続けられることが、リバースモーゲージの大きなメリットでしょう。生存中は返済の負担が少なく、老後資金の不安を解消できます。
年金形式での融資が一般的ですが、一括借入れに対応する商品もあり、リフォームなどでまとまった資金を用意したいときにも便利です。
【リバースモーゲージのデメリット】
- 金利変動リスクがある
- 自宅売却後も債務が残った場合、相続人に負担が生じる恐れもある(リコース型)
- 不動産の価値が下がれば生存中も融資限度額が見直される場合がある
多くのリバースモーゲージが変動金利を採用しているため、金利が上昇すれば総返済額が膨らみます。契約者が亡くなるまで元金がそのまま残るため、利用期間が長くなるほど利息の負担が大きくなるでしょう。
また、自宅の売却後に残債が残っても相続人の返済義務を免除される「ノンリコース型」ではなく、従来の「リコース型」を選ぶと、相続人に負担が生じる恐れがあります。
ほかにも、担保物件の価値が大きく下がると生存中にも融資金額が見直される可能性があり、場合によっては融資限度額が借入残高を下回る「担保割れ」が起こります。
不動産担保ローンとリバースモーゲージのどちらに向いている?
不動産担保ローンとリバースモーゲージは、持ち家を担保に融資を受けられる共通点はあるものの、まったく異なる仕組みです。両者の違いを理解したうえで、そのときの状況やご自身が希望するライフプランにあわせた選択をするとよいでしょう。
それでは、不動産担保ローンとリバースモーゲージ、それぞれの利用に適した人物像を具体的に紹介します。
不動産担保ローンに向いている人
不動産担保ローンは、使いみちが自由で高額な資金を一括で借入れられます。複数の借入れをひとつにまとめる手段や、自宅の住み替えや教育費などの用途として、お金を柔軟に使いたい方に適しています。
使いみちに制限のない融資にはフリーローンもありますが、不動産担保ローンには担保があるため、フリーローンよりも金利が低い傾向にあります。
また、最終的に自宅を売却するリバースモーゲージとは違い、不動産担保ローンは借入金を完済すれば担保物件を手放す必要がありません。特に、自宅以外の不動産をお持ちの方にとっては活用しやすい手段と言えます。
リバースモーゲージに向いている人
リバースモーゲージは最終的に持ち家の売却が前提となったローンです。そのため、子どもがいないなどの理由から、契約者の亡きあとに持ち家や自宅を手放す予定がある方に向いています。
生存中の返済額を抑えながら毎月一定額の融資を生活費に回す、一括で借入れて住宅ローンの一括完済やリフォーム費用などに備えるなどの利用法が可能です。
ただし、商品によっては生活費や住宅関連など、使いみちに制限があるため注意しましょう。
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不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いを理解して上手く活用しよう
不動産担保ローンとリバースモーゲージは、どちらも不動産を担保にして融資を受けられる資金調達法です。
しかし、両者の仕組みには違いがあります。不動産担保ローンは想定される借主も担保物件も、幅広い商品が用意されています。いっぽうで、リバースモーゲージは、基本的に自宅を担保とした個人向けの商品であり、50歳や60歳以上などの年齢層が対象となっています。
さらに不動産担保ローンは、借入れした本人が決められた期日までに元金と利息を返済していきます。それに対して、リバースモーゲージは借主が支払うのは利息のみになります。元金は、借主が亡くなった後に担保としている不動産を売却して相続人が支払うことになります。
このように、不動産担保ローンとリバースモーゲージには、対象者や返済方法など、様々な点で違いがあります。それぞれの相違点を把握して、ご自身やご家族にとって適した方法を選びましょう。
法人や個人事業主として不動産を活用した資金調達法をお探しなら、AGビジネスサポートの「不動産担保ローン」をぜひ検討ください。
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- 監修者
- 竹下 昌成(たけした あきなり)
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/