不動産投資ローンとは?審査項目やメリット・デメリット、ポイントを解説

不動産投資をはじめてみようと思っている方の中には、不動産投資ローンを組むメリット・デメリットや審査基準、借入れまでの流れなどが気になる方もいるのではないでしょうか。
不動産投資ローンは住宅ローンとは異なり、審査も厳しい場合があります。
この記事では、不動産投資ローンを組む際に知っておきたいポイントを紹介します。不動産投資をはじめるにあたって、ぜひ参考にしてください。
不動産投資ローンとは?
不動産投資ローンとは、家賃収入などの収益を得る不動産を購入するためのローンです。
不動産投資ローンは、個人向けと事業者向けがあり、基本的に、契約者の返済能力に加えて、不動産投資の事業内容や収益性など総合的に審査されます。
ローンを組むことで、自己資金だけでは手に入れることが難しい物件を購入でき、将来的に大きな利益を得ることも期待できます。
不動産投資ローンの金利は変動金利・固定金利の2種類
不動産投資ローンを借入れする場合は、変動金利もしくは固定金利を選択する必要があります。
金利が変わらない固定金利に比べて、一定期間ごとに利率を見直す変動金利は、市場金利に影響を受けます。
しかし、急な金利変動による毎月の返済金額の影響をある程度抑える仕組みで、金利が変動しても5年間は返済金額が変わらない「5年ルール」や、金利上昇時も前回の返済金額の125%までしか返済金額が増加しない「125%ルール」があります。
ただし、上がらないのはあくまでも「返済金額」です。返済金額のうち利息の支払い割合が増え、元本の返済率が下がった結果、元金の返済が滞ってしまい、返済総額も上昇する可能性があることを理解しておきましょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンの最も大きな違いは、「利用する目的」です。
住宅ローンは購入物件に住むことが目的、不動産投資ローンは資産運用を目的としています。
また、ローン返済の原資についても異なります。不動産投資ローンは主に家賃収入から借入金の返済をしますが、住宅ローンは給与などの収入から捻出します。
その他、借入れできる金額は、事業の将来性を加味して融資する不動産投資ローンのほうが、上限が高く設定されている場合が多いです。金利も同様に異なります。
不動産投資ローンの審査項目
不動産投資ローンの審査は、住宅ローンより厳しい傾向があります。審査項目は公表されていませんが、一般的に不動産投資ローンの審査では以下が重視されます。
- 物件の収益性
- 本人属性
それぞれの内容を紹介します。
物件の収益性
不動産投資ローンは、投資対象物件の家賃収入が返済原資となります。そのため、不動産投資ローンの審査では、主に空室リスクと実質利回りの観点から評価された物件の収益性が重要な要素になります。
空室リスクとは、入居者が見つからずに投資対象物件が空室になるリスクのことです。空室期間が長くなると、金融機関は返済に支障が出ると考えます。
実質利回りとは、家賃収入だけでなく、不動産購入時やその後の管理費、修繕積立金などのランニングコストを考慮した物件の収益性です。実質利回りが安定している物件は、審査で有利になる傾向があります。
一般的には、以下のような条件の物件は収益性の評価が高い傾向があるため、参考になるでしょう。
- 人気エリアにある
- 駅近などの立地条件がよい
- 築年数が新しい
本人属性
不動産投資ローンの審査では、一般的なローンと同様に申込者本人の属性も重要です。本人に関する主な審査項目は、以下のとおりです。
- 年収
- 勤務先
- 資産状況
- 信用情報
なお、金融機関によっては賃貸物件の経営実績も審査に影響する可能性があります。過去にアパート経営などの成功実績があると有利になる傾向があるため、賃貸物件の経営実績がある方はアピールしましょう。
不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンを組むメリットは大きく分けて3つあります。
- 資金が少なくても物件の購入が可能
- 手持ちの資金を残せる
- 団体信用生命保険に加入できるものもある
以下、詳しく解説します。
① 資金が少なくても物件の購入が可能
投資物件の高額な資金を一度に揃えることが難しい方も多いかもしれません。不動産投資ローンを組むことで、現状は自己資金が少なくても物件を購入可能です。
ただし、返済能力や申込者個人を総合的に判断し、借入金額が大きくなるとそれだけ審査基準も厳しくなる傾向にあるため、注意が必要です。
② 手持ちの資金を残せる
自己資金のみで投資用物件を購入すると、手元に資金がほとんど残らない場合もあるかもしれません。もし、物件購入後に修繕などが発生してしまった場合、自己資金がないと修繕費が用意できない可能性もあります。
不動産投資ローンを組むことで、購入後の思わぬ事態に対応するための資金を手元に残しておくことが可能です。
③ 団体信用生命保険に加入できるものもある
不動産投資ローンの中には、団体信用生命保険(以下、団信)に加入できるものもあります。
団信では、ローンを返済中に、死亡もしくは高度障害状態など万が一のことがあった場合、生命保険会社からローンの残高と同額の保険金が金融機関に支払われ、債務が弁済されます。
つまり、万が一のことが起きても、残債務なしで資産である不動産を家族に残せるため、団信への加入はメリットでしょう。
※AGビジネスサポートの「不動産投資ローン」では団体信用生命保険に加入いただけません。不動産投資ローンのデメリット
不動産投資ローンを組む場合は、デメリットもあるため注意が必要です。
- 投資物件の慎重な選定が必要
- 返済時は利息が発生する
- 審査が厳しく、融資まで時間がかかる傾向にある
以下、3つのデメリットをご紹介します。
① 投資物件の慎重な選定が必要
不動産投資ローンは家賃収入でローンを返済するため、購入後に思わぬ空室や修繕が発生してしまうと、ローン返済ができなくなる場合もあります。
空室のリスクは物件の立地や築年数などさまざまな条件によっても変わります。得られる利益率が高いからという理由だけで判断するのではなく、複数の物件を比較したうえで厳しく判断することが必要です。
② 返済時は利息が発生する
不動産投資ローンを利用した場合は、元金+利息を月々支払わなければなりません。また、金利上昇時には、さらに返済金額が増えます。
状況に応じて、自己資金で一部繰上げ返済をするなどの対策も必要になるでしょう。
③ 審査が厳しく、融資まで時間がかかる傾向にある
不動産投資ローンは、物件の採算性と申込者個人について総合的に審査されます。また、空室によって家賃回収ができない場合の返済能力を問う「与信」も確認されるのが一般的です。
そのため、物件の今後の収益計画書などをしっかりと作成する必要があります。審査が厳しい分、1箇所だけでなく複数の金融機関を候補として挙げておくことも重要です。
また、融資を受けるまでに事前審査や本審査などをするため、融資までに2週間から1ヶ月以上かかることもあります。審査結果が出るまでの時間を考慮し、余裕をもって申込みすることが大切です。
不動産投資ローンの融資までの流れ

不動産投資ローンの借入れまでの全体の主な流れは以下の通りです。
① WEBサイトや電話で相談(問合せ)
金融機関によって問合わせ方法が異なるため、公式HPから確認が必要です。金融機関によっては、本審査の前に融資可能か仮審査を行う場合があります。
② 申込み
仮審査に通過できたら申込みを行います。
③ 審査
必要書類をもとに審査を行います。仮審査を通過しても、本審査の結果次第では融資自体を受けられなかったり、希望金額の融資を受けられなかったりする場合もあります。
④ 契約・融資の実行
本審査を通過できたら、(根)抵当権設定契約・金銭消費貸借契約を結び、融資が実行されます。
細かな流れは金融機関によっても異なるため、必ず確認しましょう。
不動産投資ローンの審査に通るために気をつけるポイント
不動産投資ローンの審査では、借入れする「人」と「物」を多面的に評価します。そのため、不動産投資ローンの審査に通るためにはポイントを押さえておくことが大切です。
以下、具体的に不動産投資ローンの審査に通るために知っておくとよい点や気をつけることを4つ紹介します。
① 物件の資産価値も見られる
不動産投資ローンの審査では、立地や築年数、賃料相場、管理状況や周辺の賃貸需要なども踏まえて物件を評価します。
また、金融機関は、物件の耐用年数も重視しているため、不動産の建物の構造ごとに定められている法定耐用年数も確認しましょう。
資産価値が高い物件は、金利変動リスクにも強いためリスクヘッジにもなります。
② 自己資金の金額も審査に影響する
金融機関の融資には、手元資金がいくらあるかも審査結果に影響します。
不動産投資ローンは、家賃収入から返済しますが、金融機関は手元に自己資金を持っている方のほうが、リスクが少ないと判断するためです。
年収や属性に不安がある場合は、計画的に自己資金を多く貯めておくことで融資を受けられる可能性が高くなるでしょう。
また、不動産は、一時的な空室期間や修繕費の支出によりキャッシュフローが変化するケースがあるため、自己資金を増やしておくことは、不動産投資をする上でも重要になります。
③ 健康を維持しておく
一見、不動産投資に関係ないように思えますが、ローンである以上はご自身の健康をしっかりと維持し、着実に返済していくことが重要です。ローン返済中に病気などにかかることで、物件の維持・管理が難しくなってしまう可能性があります。
また、不動産投資ローンを組む際、金融機関によっては団信への加入が必須の場合があります。
団信は生命保険であるため、借入金額によっては健康診断書の提出とあわせて診査が必要になることもあります。
仮に、糖尿病や脳卒中、がんなどの持病があるなど、診査結果によっては団信に加入できず、融資を受けることができなくなる場合もあるため、健康面に気をつけることも大切です。
共同担保は慎重に検討する
不動産投資ローンでは、対象の物件以外に複数の物件を担保(共同担保)にできる場合があります。
自宅などを共同担保に入れることで、融資金額が上がったり、有利な条件で融資を受けられたりすることがあるため、融資額が希望していた金額より少ない場合などに共同担保は有効な手段です。
ただし、共同担保には以下のようなデメリットがあります。
- 原則、片方のみを外すことができない
- 自宅を共同担保に入れると、返済できない場合に家を失う
共同担保にはメリットもありますが、デメリットもあるため、不動産投資ローンの申込時に共同担保を入れるかどうかは慎重に検討しましょう。
状況に応じてノンバンクへの申込みも検討しよう
不動産投資ローンは、ノンバンクでも提供しています。ノンバンクとは、預金や為替業務を行っておらず、貸付業務をメインに実施している金融機関の総称です。
ノンバンクの不動産投資ローンを利用するメリットは、以下のとおりです。
- 独自の審査基準を設けており、銀行より柔軟に対応してくれる傾向がある
- 審査スピードが早い傾向がある
不動産投資ローンを扱うノンバンクは多数あるため、銀行に限定せず、複数の金融機関で審査を受けてみましょう。
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※お申込み時間帯や審査状況によっては対応できない場合があります。※本審査の結果、ご希望に添えない場合もございます。
不動産投資ローンは投資用不動産の購入時に組むローン
不動産投資ローンは、家賃収入などの収益を得るための不動産を購入するためのローンです。
自己資金だけでは手に入れることが難しい物件を購入でき、将来的に大きな利益を得ることも期待できます。
いっぽう、物件の採算性と申込者個人を総合的に判断するため、審査が厳しい場合があります。
そのため、不動産投資ローンを検討している方は、メリット・デメリットを理解し、審査に通るためのポイントを意識するとよいでしょう。
また、銀行などの条件に合わず、融資を受けられなかった時の選択肢として、ノンバンクの不動産投資ローンもあわせて検討してみてはいかがでしょうか。
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- 監修者
- 竹下 昌成
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/