不動産担保ローンはつなぎ融資に使える?不動産売却を前提にした利用も解説

事業を運営していると、予定外のトラブルなどから事業資金が急に不足してしまう場面が珍しくありません。資金の一時的な不足を補う手段として、つなぎ融資を検討する企業も多いでしょう。
事業資金のためにつなぎ融資を受ける方法はいくつかありますが、自社で不動産を所有しているなら不動産担保ローンも選択肢となります。しかし、不動産担保ローンの利用がビジネスに与える影響や、つなぎ融資としての利便性などが気になる方もいるかもしれません。
そこで、つなぎ融資の概要や選択肢、不動産担保ローンをつなぎ融資に利用するポイントなどを詳しく紹介します。
つなぎ融資とは
つなぎ融資とは、一時的な資金不足の穴埋めとして利用される融資です。
想定外の事態が起こり急にお金が必要になったときなど、あくまでも一時的な融資として位置づけられるため、一般的には短期間のうちに一括返済されます。
個人にとってのつなぎ融資
個人でつなぎ融資を利用するケースに、マイホームを購入する際、物件の引き渡し前に発生する費用の調達があります。
マイホームを購入する際、多くの方が住宅ローンを利用します。しかし、住宅ローンは物件を引き渡すタイミングで融資が実行されるため、それ以前に生じる費用、たとえば土地の購入費用や建築着工金などはご自身で用意しなくてはなりません。
数は多くありませんが、住宅ローン向けのつなぎ融資を扱う金融機関もあります。こうした個人向けのつなぎ融資は、1~3回に分けて融資を受けたあと、住宅ローンの融資を利用して一括返済する仕組みが一般的です。
事業者にとってのつなぎ融資
事業者がつなぎ融資を利用する理由は、自社の運営で欠かせない事業資金の一時的な不足を解消する場合が多いです。
事業資金が予定外に不足する原因はさまざまですが、一時的な資金繰り悪化が負の連鎖を招き、経営を傾かせる原因にもなります。そのため、事業者にとってのつなぎ融資は、より緊急性を求められます。
事業の資金調達法には、公的な補助金から民間の金融機関での借入れまで幅広い選択肢があります。どのような方法を選ぶにせよ、一時的な借入れであればつなぎ融資だと考えられます。
ここからは、事業者にとってのつなぎ融資に関する知識や情報を紹介していきます。
つなぎ融資を必要とする主なケース
事業者がつなぎ融資を必要とするケースとして、主に次のようなものが考えられます。
- 取引先からの売掛金の回収が遅れている
- 公的な補助金の交付までの資金繰りが困難になっている
- 銀行の融資実行まで日にちがある
- 不動産売却中だが現金化に時間がかかっている
回収不能とまではいかなくとも、取引先からの売掛金の回収が予定より遅れることは珍しくないでしょう。回収が進まなければ、経理上は順調に見えても資金繰りが悪化します。売掛金の回収を待たずに「黒字倒産」とならないように、当面の運転資金を確保すべきでしょう。
また、国や自治体の補助金や銀行からの融資を受けると決まっていても、入金までに生じるタイムラグから、短期間のつなぎ融資を必要とするケースもあります。
ほかにも、不動産売却でまとまった資金を調達するつもりが、期待通りに売買が進まないケースも考えられます。不動産市場での売買には平均3~5か月かかるため、スケジュールに余裕がなければ別の融資を受けなければならないでしょう。
不動産担保ローンはつなぎ融資に利用できる?
不動産担保ローンとは、所有する建物や土地を担保にお金を借入れる有担保ローンです。
利用条件は提供する会社や商品によって少しずつ異なりますが、一般的に借入金の利用目的を問われません。法人や個人事業主を対象とした不動産担保ローンも多く、事業のつなぎ融資として利用可能です。
25~35年と返済期間を長く設定した長期的な利用も可能ですが、2~5年と短期間で契約できる商品もあり、一時的な資金の準備にも適しています。
法人として、または個人で不動産を所有しているなら、つなぎ融資の手段として不動産担保ローンの活用を検討するとよいでしょう。
不動産売却を前提とした不動産担保ローンもある
不動産を活用したつなぎ融資の手段として、売却予定の不動産を担保とする不動産売却前提ローンもあります。
これから売却する計画のある不動産を担保とするローンで、融資を受けたあと担保物件の売買成立後に売却代金で完済する仕組みです。返済期間は1~2年と短めで、つなぎ融資として利用も可能です。
不動産を活用した資金調達に興味はあるものの、売却予定があることから不動産担保ローンの申込みを悩んでいるなら、こうしたローンを選択肢に加えてみましょう。
不動産担保ローンをつなぎ融資に利用するメリット

不動産担保ローンをつなぎ融資に利用すると、次のようなメリットがあります。
金利の負担を抑えられる
つなぎ融資はあくまで一時的な融資であり、資金繰りの見通しが立っていてその資金を確保するまでの空白期間の穴埋めであることが前提です。
不動産担保ローンの適用金利は年率2.5~9.0%前後と無担保ローンよりも低い傾向があり、比較的利用しやすい融資です。しかし、返済期間が長引くほど金利の負担は増します。つなぎ融資の役割を終えたらできるだけ短期間で完済して、金利の負担を抑えることが大切です。
商品によっては1~2年の返済期間で契約できるものもあるため、できるだけたくさんの商品を比較して、つなぎ融資の条件に合った不動産担保ローンを選びましょう。
余裕をもった資金調達ができる
不動産担保ローンで受けられる融資金額は、事業の経営状況のほか、担保となる不動産の価値で決まります。資産価値の高い不動産が担保となることから最大5億円などと高額の融資が可能で、ほかのローンより余裕をもった資金調達を実現しやすいでしょう。
事業でのつなぎ融資は、運転資金や新規事業の準備、設備投資、納税、キャッシュフローの改善など、使いみちによって必要な金額が変わります。まとまった資金を調達できる不動産担保ローンなら、あらゆるケースでつなぎ融資としての役割を果たせます。
不動産担保ローンをつなぎ融資に利用するデメリット
不動産担保ローンはつなぎ融資として利便性の高いローンですが、利用にあたってデメリットとなりうる点も把握しておきましょう。
利息や手数料の支払いが生じる
つなぎ融資は、想定外の事態が起こらなければ必要のない借入れです。事業を円滑に進めるためには必要な選択だとしても、本来なら支払う予定のなかった利息が生じてしまうことへの意識が大切です。
特に注意したいのが手数料です。契約にあたって不動産の調査料や保証料、事務手数料など、商品によってさまざまな手数料がかかります。こちらも商品によって必要とされる手数料や金額が異なります。
返済不能になれば不動産を手放すリスクがある
不動産担保ローンは、返済不能に陥れば、担保物件を手放さなければなりません。抵当権を持つ契約先の金融機関などが、担保物件の売却代金で残債を回収するためです。
法人あるいは個人として保有してきた大切な資産や、将来見込まれる売却益を失うことになれば、事業者として大きなデメリットとなるでしょう。
また、担保物件の売却で残債を回収しきれなかった場合には、手持ちの資金で完済しなければならなくなり、新たな融資で借入れを膨らませる可能性もあります
不動産担保ローンを利用中に返済が困難だと感じたら、早急に契約先の会社に現状や解決策を相談するのがおすすめです。
不動産担保ローンをつなぎ融資に利用するポイント
不動産担保ローンをつなぎ融資に利用するときには、次のポイントを押さえて活用しましょう。
目的や金額を明確にする
つなぎ融資に限ったことではありませんが、融資を受ければ借入金は利息とともに返済しなければなりません。融資を受けて事業のトラブルを解消しても、返済の負担がかかるなどのことから、経営に悪影響を与える恐れもあります。
つなぎ融資として不動産担保ローンを選ぶなら、一時的な資金としての適切な活用が重要です。なんのために、いつまでにいくら必要なのか、利用する目的や内容を明確にします。
また同時に、なぜつなぎ融資が必要になったのか、原因を探って解決策を考案しておくことも必要でしょう。
公的な融資はスケジュールに余裕をもって申込み、審査落ちも想定しておく、売掛金の回収が遅れるなら取引先と話し合いの場を持つなど、つなぎ融資を使わずに済む事業運営を目指しましょう。
具体的な返済計画を立てる
不動産担保ローンは契約時点で返済期間が決定されるため、返済の見通しを立てやすいでしょう。しかし、つなぎ融資として短期間のうちの返済を実現するには、より具体的かつ現実的な返済計画を立てるのがおすすめです。
たとえば、契約期間が1年の不動産担保ローンでも、半年後には本来予定していた資金調達が実現するのであれば、半年で完済できる計画を立てます。毎月の返済額、利息や手数料の金額、変動金利の場合は金利の動向、一括完済するタイミングなど、細かな数字と時期を可視化すれば、実現性が高まります。
ただし、短期間での完済を前提とはするものの、事業の運営をひっ迫するような無理な返済計画を立てないようにしましょう。どんな事業も外的・内的要因から予期せぬ事態に見舞われるものです。状況に応じた返済計画の見直しも大切です。
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また、契約にあたって必要となるのは印紙代や登記費用の実費のみで、調査料・保証料は無料のため、効率よく必要な資金をお借入れいただけます。保証人も必要ありません※。
不動産担保ローンをご検討中なら、まずはお気軽にお問合せください。
※法人契約の場合は原則代表者の連帯保証が必要です。また、担保提供者の連帯保証が必要な場合があります。不動産担保ローンもつなぎ融資として利用可能

不動産担保ローンは、事業者のつなぎ融資として利用できます。公的な融資や銀行からの借入れよりも審査にかかる時間が短い傾向にあり、急を要する資金調達にも適しています。
普段から金融機関の担当者とコミュニケーションを取り、急な資金を他社で調達する影響についても確認しておきましょう
多くの商品が30年前後の長期返済にも対応していますが、比較的短期の返済でも契約可能です。資産価値の高い不動産を担保とするため金利は低い場合もあり、短期で完済すれば利息の負担も抑えられるでしょう。
ただし、不動産担保ローンは商品ごとに細かな違いがあります。元金一括返済でつなぎ融資に適した不動産担保ローンなら、AGビジネスサポートをぜひご検討ください。
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- 監修者
- 竹下 昌成(たけした あきなり)
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/