不動産担保ローンは権利証なしに利用できる?必要書類についてわかりやすく解説

不動産担保ローンを利用するときは、担保不動産の権利関係を示す書類の提出を求められます。不動産の権利証(登記済証)を提出することが多いですが、紛失している場合であっても問題なく不動産担保ローンに申込めることが一般的です。
しかし、権利証がないことで別途コストが発生するケースもあるため、注意が必要です。権利証なしに不動産担保ローンに申込む方法や紛失時に求められる手続き、不動産担保ローンに申込む際の権利証以外の提出書類についてわかりやすく解説します。
そもそも不動産の権利証(登記済証)とは?

不動産の「権利証」とは、不動産の登記完了時に登記名義人に交付される書類のことです。登記した後で交付されることから、「登記済証」と呼ばれることもあります。
不動産の権利証は、2004年に不動産登記法が改正されるまでは発行されていました。現在は不動産を購入しても、権利証は発行されないことが一般的です。
2005年以降は権利証ではなく「登記識別情報」が利用されている
2004年の不動産登記法改正後は、権利証ではなく「登記識別情報」により登記情報が管理されるようになりました。この登記識別情報を「権利証」と呼ぶこともあり、従来の権利証と同様、不動産の権利関係を示す書類として利用されています。
また、従来の権利証(登記済証)は発行されなくなりましたが、無効になったわけではありません。2004年以前に発行された権利証(登記済証)も、2005年以降の権利証(登記識別情報)と同様の扱いとなります。
権利証は再発行できない
従来の権利証(登記済証)も、現在の権利証(登記識別情報)も、いずれも再発行ができません。万が一、紛失した場合は、権利証なしに不動産の権利関係を示すことになります。
なお、以下のケースなどでは、正しく登記手続きを実施しても権利証(登記識別情報)が発行されません。しかし、不動産の所有権や抵当権といった権利を保持している場合には、権利の主張や行使は可能です。
- 登記申請人と登記名義人が異なる場合
- 登記名義人以外が登記申請をした場合
- 権利証(登記識別情報)の通知を希望しない旨を届け出た場合
- 登記手続きを電子申請により実施し、30日以内に権利証をダウンロードしなかった場合
- 登記手続きを書面申請により実施し、3ヶ月以内に受取らなかった場合
権利証が見当たらないときは、紛失ではなく元々発行されていなかった可能性も想定されます。上記に該当していないか、確認してみましょう。
不動産担保ローンは権利証(登記済証)がなくても利用できる
不動産担保ローンに申込むときは、担保不動産の情報を示す書類が必要です。権利証(登記済証)も不動産情報を示す書類として利用できることがありますが、登記事項証明書(不動産謄本)を提出し、必要に応じて固定資産税評価証明書などを求められることが多いでしょう。
固定資産税評価証明書は不動産のある市区町村役場や証明書発行センター、税事務所などで取得できます。また、郵送請求にも対応しているため、居住地から離れた場所の不動産の固定資産税評価証明書が必要なときは検討してみましょう。
なお、固定資産税評価証明書を取得しなくても市区町村役場からの納付書のコピーで代替できるケースもあります。
不動産の権利証(登記済証)を紛失したときの手続き
不動産担保ローンを利用するとき以外にも、不動産の権利関係の書類が必要になることがあるでしょう。大抵の場合は固定資産税評価証明書を提出すれば問題ありませんが、不動産の権利証(登記済証)を求められるケースもあるかもしれません。
権利証(登記済証)を紛失し、提出できないときは、現行利用されている登記識別情報を使って、以下のいずれかの方法で所有権などを示すことになります。
- 本人確認情報を作成する
- 事前通知制度を利用する
各方法について見ていきましょう。
本人確認情報を作成する
本人確認情報とは、登記申請人が登記名義人(不動産の所有権などの権利を持っている本人)であることを示す書類です。司法書士に依頼し、作成してもらうことが一般的です。
本人確認情報の作成には、次のいずれかの本人確認書類が必要になります。
- 運転免許証など顔写真付きの公的な本人確認書類
- 健康保険証や年金番号通知書など
また、作成時には、司法書士に支払う報酬も必要です。司法書士によって報酬額が異なるため、依頼前に確認しておきましょう。
事前通知制度を利用する
事前通知制度とは、登記申請の際に権利証(登記済証、登記識別情報)を提出できないときに、登記官が登記申請人・登記名義人の真実性を確認する制度です。以下の流れで利用します。
- 権利証なしに法務局で登記申請を実施する
- 登記官から事前通知書を受取る
- 一定期間内に登記内容が真実である旨を登記名義人が申出る
事前通知制度は郵送でも利用できます。ただし、不動産の権利を証明するときには、本人確認情報を作成するほうが一般的です。
不動産担保ローンの利用に必要な権利証以外の書類
不動産担保ローンを利用するときには、権利証(登記済証、登記識別情報)以外にもさまざまな書類の提出が求められます。一般的な書類について見ていきましょう。
なお、提出書類は、申込先の金融機関によって異なります。また、担保不動産や審査の状況によっては、書類を提出した後に追加書類の提出も求められることがあるため注意が必要です。
法人の場合
法人が不動産担保ローンを利用するときには、以下の書類の提出を求められることがあります。
- 法人代表者の本人確認書類
- 決算書
- 固定資産評価証明書(名寄台帳)
- 各種納税証明書
- 借入れがある場合は返済予定表
- 現在の残高がわかる書類
上記以外の書類を求められることがあります。書類はいずれも審査に用いられるため、提出が遅れると、その分、審査期間も長引きます。早期に融資を受けたいときは、指定された書類を早めに提出するようにしましょう。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスが不動産担保ローンに申込むときには、以下の書類の提出を求められることがあります。
- 申込者の本人確認書類
- 確定申告書
- 固定資産評価証明書(名寄台帳)
- 各種納税証明書
- 借入れがある場合は返済予定表
- 現在の残高がわかる書類
- 事業内容確認書
法人と同様、上記以外の書類の提出を求められることがあります。スムーズな審査のためにも、早めに提出するようにしてください。
事業者ではない個人の場合
事業者ではない個人が不動産担保ローンを利用するときには、以下の書類の提出を求められることがあります。
- 申込者の本人確認書類
- 源泉徴収票
- 住民税課税証明書
- ローンを利用している場合は返済計画書など
必要な書類はケースごとに異なります。正しい書類を提出するためにも、申込先の金融機関に確認しておきましょう。
不動産担保ローンの疑問はAGビジネスサポートにご相談ください
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不動産担保ビジネスローンと不動産担保カードローンのいずれも、審査によっては抵当権がすでに設定されている不動産を担保にすることも可能です。また、簡易審査は最短1日、融資までは最短3日とスピーディな対応も特徴です。ぜひお問合せください。
(※)法人契約の場合は原則代表者の連帯保証が必要。担保提供者の連帯保証が必要な場合があります。
不動産担保ローンの権利証に関するよくある質問

不動産担保ローンの権利証について、よくある質問とその答えをまとめました。ぜひ参考にして、疑問を解消してから不動産担保ローンを検討してください。
Q.不動産担保ローンの審査後に権利証を返却してもらえる?
権利証などの再発行ができない書類については、原本を提出するのではなく、コピーして提出することが一般的です。原則として提出した書類は金融機関で管理されることになるため、審査結果に関わらず返却されません。詳しくは申込先に確認しましょう。
なお、権利証は不動産担保ローンの審査には不要なケースがあります。紛失していてもローンの申込みには支障がないことも多いため、気になるときは、申込先に相談しましょう。
Q.権利証の名義が申込者以外でも不動産担保ローンを利用できる?
金融機関によっては、申込者以外が所有する不動産であっても不動産担保ローンの担保として利用できます。ただし、物件所有者が連帯保証人になることを求められる可能性があるため注意が必要です。
まずは申込先に担保不動産の条件を確認してください。また、連帯保証人になるかどうかに関わらず、実際の所有者(権利者)にも相談し、担保として利用してよいか相談することも大切です。不動産担保ローンがきっかけで不動産所有者との関係がこじれないよう、細心の注意を払いましょう。
まとめ
不動産の権利証(登記済証)を紛失したときでも、不動産担保ローンに申込むことは可能です。申込時には権利証の提出を求められないケースもあり、登記事項証明書(不動産謄本)や固定資産税評価証明書などを不動産情報書類として活用することが一般的です。
また、権利証の提出を求められる場合も、固定資産税評価証明書などの書類で代用できることもあります。担保不動産の権利証がない場合には、まずは不動産担保ローンの申込先に相談してください。
融資実行段階などでどうしても権利証が必要なときは、権利証そのものは再発行できませんが、本人確認情報の作成や事前通知制度の利用により、登記情報を示すことは可能です。ただし、司法書士に依頼する必要が生じることもあり、時間や費用がかかる可能性がある点に注意が必要です。
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- 監修者
- 竹下 昌成(たけした あきなり)
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- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/