ファクタリングは請求書のみで利用できる?必要書類を紹介!

ファクタリングとは、会社の保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して、期日前に現金化する資金調達方法です。
ファクタリングを利用するには、ファクタリング会社の実施する審査に通過する必要があります。審査の判断基準として利用されるのが、請求書や請求書の発行元である取引先や債券の信用力をはかるための書類です。
請求書は、取引で得た売上をもとに発行されて売掛債権を証明する書類のひとつですが、請求書のみでのファクタリング利用はできるのでしょうか。
本記事では、ファクタリングの利用にあたって正しく理解しておきたい概要、メリットやデメリット、必要書類を紹介します。
ファクタリングは請求書のみでは利用できない
ファクタリングは売掛金(売掛債権)を利用した資金調達法です。金融機関からの融資とは異なり、担保や保証人が不要のため、近年利用する会社が増加しています。
ファクタリング会社は売掛債権の買取りにあたって、利用者と取引先の信用力を審査します。売上があったと確認できる請求書があれば、ファクタリングの利用で十分な証明になると感じる方もいるでしょう。
しかし、ファクタリング契約には原則として償還請求権がないため、ファクタリング会社は慎重に審査する必要があります。
償還請求権とは、債務者からの支払いがないとき、債権者に支払いを求める権利です。
償還請求権が定められていないファクタリング契約の場合、取引先が倒産するなどして資金を回収できなくても、ファクタリング会社は利用者(債権の元の持ち主)に弁済を求められません。
こうしたリスクを回避するために、ファクタリング会社は取引先の信用力や売掛債権の健全性などを多方面から審査します。そのため、請求書のほかにも、顔写真付きの本人確認書類、入金が確認できる通帳などの提出を求められるケースが一般的です。
ファクタリングを請求書のみで利用できるケース
仕組みやファクタリング会社の抱えるリスクを考えると、請求書のみでのファクタリング利用は困難です。ただし、請求書のみでの利用が認められるケースもまれに存在します。
- 同じファクタリング会社を継続的に利用し、ファクタリング会社から信用を得ている
- 同じ取引先の売掛債権を続けて利用している
これらのケースでは、詳しく審査をしなくても、取引先や買い取る債権の信用力をすでに把握できていると判断されたと考えられます。しかし、請求書のみでの利用が認められても、「直近の利用から半年以内」など、細かな条件が設けられている場合がほとんどです。
また、請求書のみの審査を受けるかどうかの判断はファクタリング会社ごとに異なります。請求書のみの利用を希望しているなら、事前にファクタリング会社に確認しておきましょう。
ファクタリング利用時の主な必要書類
ファクタリングを利用するには、請求書以外にも複数の書類の提出が必要です。ファクタリング会社の方針や売掛債権の買取金額などにより異なりますが、必要書類には主に次のようなものがあります。
ファクタリング利用で必須の書類
- 買取りを希望する請求書(売掛債権)
- 同じ取引先で入金済の請求書
- 上記の入金を確認できる通帳(コピー)
- 顔写真付きの本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)
多くのファクタリング会社で提出を求められるのが、請求金額や入金日が確定した請求書などです。たとえば通帳のコピーからは、利用者と取引先とのあいだで行われたこれまでの取引内容、未払金や支払いの遅延の有無などが確認されます。
ファクタリング利用で必要となる可能性がある書類
- 商業登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 決算報告書(あるいは確定申告書)
- 試算表
- 取引基本契約書
- 発注書、納品書、個別契約書など取引先との取引実績を示す書類
状況に応じて提出を求められる書類には、会社の実在を証明する商業登記簿謄本や取引先との継続的な関係を証明する取引基本契約書などがあります。ファクタリング契約で使用する実印の印鑑証明書を求められる場合もあります。
そもそもファクタリングとは
そもそもファクタリングとは、会社が保有する売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却して資金を調達する金融サービスです。
近年ファクタリングが急増している背景には、日本の経済事情があります。かつては日本独自の手形取引が主流でしたが、手形取引は現金化に時間がかかるため、中小企業を中心に会社の資金繰りを悪化させる原因とされてきました。
そうした事情から、原則として当月締め・翌月末払いの掛け払いが手形にとって代わり、売掛金での取引が増えるとともに、ファクタリングも増加しています。2026年には約束手形が原則廃止になる予定で、ファクタリングのさらなる利用増が見込まれます。
ファクタリングにはいくつかの種類があり、以下ではファクタリング2種類の仕組みを詳しく解説します。
保証型ファクタリング
保証型ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社とのあいだで保証契約を結び、取引先の倒産などで売掛金(売掛債権)の未回収リスクを回避する仕組みです。取引先から確実に売掛金を回収したいときに適しています。
たとえば、1,000万円の売掛金で保証型ファクタリングを利用したとします。このとき保証額を1,000万円としておくと、取引先からの債権が回収不能になってもファクタリング会社から1,000万円が支払われます。
ただし、保証が適用されるタイミングは、倒産や破産手続き、会社更生や民事再生、受取手形の不渡りなどさまざまです。取引先からの入金の遅れなどは原則として適用外となるため、早期に資金を準備したい会社には不向きかもしれません。
また、保証型ファクタリングの利用には一定の保証料を支払う必要があります。
保証型ファクタリング
買取型ファクタリングは、売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に現金で買い取ってもらう方法です。保証型ファクタリングに比べるとスムーズな資金調達をしやすいでしょう。
買取型ファクタリングは「2社間」と「3社間」の2種類に分かれています。2社間は利用者とファクタリング会社の合意で売掛金を売却するものです。いっぽう、3社間は利用者と取引先、ファクタリング会社と、関係する3社が合意して売掛金を売却します。
3社間ファクタリングでは、2社間ファクタリングと比べると審査に時間がかかりますが、手数料は2社間ファクタリングよりも低めのことが多いです。反対に、2社間ファクタリングは、比較的短時間で手数料が高い傾向にあります。
ファクタリングのメリット・デメリット

近年、日本で急増するファクタリングですが、利用に際してはファクタリングの仕組みとともに、メリットとデメリットを押さえておきましょう。
ファクタリングのメリット
ファクタリングのメリットは、売掛金(売掛債権)をスムーズに現金化できる点です。会社にもよりますが、早ければ申込み当日の資金化にも対応してもらえます。
償還請求権なしのファクタリングである完全買取型(ノンリコース契約)にしておけば、取引先の倒産などにより債権が回収不能になるリスクをファクタリング会社に負担するため、資金繰りへの不安も解消できるでしょう。
ノンリコース型のファクタリングは、売掛金の現金化にすぎず金融機関からの融資のような借入金には当たりません。そのため、会社の財政状況(貸借対照表)に影響を及ぼさないこともメリットのひとつです。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングのデメリットは手数料が発生する点です。一般的に、保証型ファクタリングと買取型ファクトリングの「2社間」は手数料がやや高め、買取型ファクタリングの「3社間」は債権の未回収リスクの低さからやや低めとされます。
自社で売掛金を回収するときには発生しない費用のため、ファクタリング利用時には考慮しておく必要があります。
ファクタリング会社から手にできる資金は、売掛債権の金額から手数料を引いた金額が上限となっています。そのため、多額の資金を準備する方法としては不向きの場合があります。さらに、取引先の業績などによりファクタリングの審査に通らず、思うように資金調達できない可能性もあります。
ファクタリング会社を選ぶ際のポイント
法人や個人事業主の取引量が増えるなか、ファクタリングを提供する会社や金融機関が増えています。しかし、選択肢が多いからこそ、どのファクタリング会社を選ぶべきか、判断のむずかしさを感じる方も多いでしょう。
そこで、ファクタリング会社を選ぶときのポイントを3つ紹介します。
資金調達までにかかる時間
資金調達を急いでいる場合には、スムーズな現金化を重視してファクタリング会社を選びましょう。
迅速な資金調達に向いているのが、買取型ファクタリングです。現金化の目安は、2社間ファクタリングで即日、3社間でも数日程度となっています。ただし、ファクタリング会社により対応に違いがあるので、事前に目安の日数を確認しておきましょう。
また、迅速な現金化をうたうファクタリング会社であっても、提出を求められる書類があまりに多いと準備や手続きに時間がかかります。こうした事務処理にかかる時間も考慮しておくとあんしんです。
適正な手数料
ファクタリングにかかる保証料や売却手数料の金額は、ファクタリング会社や申込内容、審査結果などにより異なります。
ファクタリングは原則として貸金業にはあたりません。貸金業に該当するかどうかは、契約内容など実態に照らし合わせて判断されます。そのため、法律上の制限はなく、手数料などの設定はファクタリング会社に任されています。
金額の目安は、保証型ファクタリングは1~8%、買取型の2者間ファクタリングは8~18%、3者間ファクタリングは2~9%などとなっています。また、売掛金の額面が小さいほど手数料率は高く、大きいほど低くなる傾向があります。
明らかに高すぎる手数料を提示されたと感じるようなら、手数料の決定理由を確認して、不審な点があれば契約は避けましょう。
企業としての信頼性
ファクタリング会社を選ぶときは企業としての信頼性も重要です。
ファクタリングサービスをうたう会社のなかには、悪徳業者も存在しています。貸金業にあたる行為をファクタリングと称し、貸金業としての登録なしに活動する違法業者も少なくありません。
高額な手数料や悪質なサービスを受けるリスクを避けるためには、過去の実績や買取金額の上限などの情報から、信頼性の高いファクタリング会社を選ぶことが重要です。
「AGビジネスサポート」の売掛債権ファクタリングなら最短即日現金化が可能
アイフルのグループ「AGビジネスサポート」が提供する「売掛債権ファクタリング」は、法人と個人事業主を対象としており、最短即日での買取に対応しています。
必要書類は、請求書のほか本人確認書類と通帳で、利用の準備に手間や時間もかかりません(買取金額によっては追加書類が発生する場合があります)。
ご来店不要でWEB上でお申込みが可能で、忙しい業務の合間でも利用しやすい点が特徴です。赤字決算や債務超過、開業1年未満など、銀行からの融資が難しいケースも、ご相談が可能です。
なお、AGビジネスサポートの売掛債権ファクタリングは、売掛債権をお持ちの国内法人様・個人事業主様が利用対象となります※。
※買取金額によって国内法人様のみとなります。
まとめ
必要書類の判断はファクタリング会社や申込内容などにより異なりますが、ファクタリングは、通常請求書のみでは利用できません。
ただし、同じファクタリング会社を継続的に利用してすでに信用を得ている、売掛債権が以前利用したときと同じ取引先のものであるなど、一部ケースで請求書のみでの利用が認められる可能性はあります。
請求書のみとはいかなくても、必要書類が多くなければファクタリングの利用手続きをスムーズに進められるでしょう。融資までにかかる時間や条件や必要書類を確認してファクタリング会社選びにお役立てください。
おすすめ記事
-
-
- 監修者
- 竹下 昌成
-
- プロフィール
- 大家業、TAC講師、竹下FP事務所代表。1971年生まれ。兵庫県西宮市在住。立教大学卒業後、地銀やノンバンク、住宅メーカーFPを経て現職。30歳から大家業をスタート、45歳でFIRE。年間家賃収入3,600万円。得意分野は住宅購入と不動産投資。
- 資格情報
- CFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザーほか
- https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/