出資とは？　融資との違いや選び分け方、出資の種類をチェック

企業の資金調達方法には、大きく分けて「出資」と「融資」があります。どちらも資金を調達する方法である点は共通していますが、違いも少なくないため資金調達を行う際は注意が必要です。

この記事では出資の定義や融資との違い、出資・融資それぞれの種類やメリット・デメリットを紹介します。中小企業の経営に当たって資金繰りに悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてください。

出資とは

新規事業のスタートや事業拡大の際、出資による資金調達を考えている企業も多いでしょう。しかし資金調達の方法には出資の他に融資もあり、違いに悩むこともあるでしょう。

ここでは出資とは何かとともに、融資・投資との違いについて解説します。企業の資金調達に際して、出資の意味や定義を明確にしておきたい場合は以下をチェックしてみてください。

将来の利益を期待して事業資金を出すこと

出資とは字義どおり、資金を出すことです。一般的には、事業の運転資金として現金や不動産、労務などの資本を提供することを意味しています。資本の内容や規模を問わず、ある企業に対して、将来的な利益を期待して金銭・財産を出す行為全般が「出資」です。

事業者側が出資によって資金を得ることは、「出資を受ける（増資）」と言います。新株を発行し、それを投資家に購入してもらう形で資金援助を受けるのが一般的です。株式を発行して払込金を受け取ることは「有償増資」と呼ばれます。

融資との違い

出資とよく似たニュアンスの言葉に融資がありますが、両者は同じものではありません。まず融資とは、「お金を貸すこと」です。これに対して出資は、貸すのではなく資金を提供することです。

そのため、出資を受けた場合は返済の義務が生じません。一方で融資を受けた場合、借りたお金を返済しなければなりません。事業者にとって出資を受けた場合は資本が増加しますが、融資を受けると負債を抱えることになります。

もう一つの違いは、会社の経営権を奪われる可能性があるかどうかです。出資を受けると返済の義務こそないものの、出資者が会社の経営権を持つことになる場合があります。対する融資は受けても単に借金をしただけなので、融資した側が経営に関与することはありません。

投資との違い

投資とは、利益を得る目的で「資金を投じる」こと全般です。会社への投資には、株式を購入したり社債を購入したり、融資したりする行為が全て含まれます。つまり「投資」という集合があり、その中に出資や融資が含まれるという関係性になります。

投資というと株式の購入をイメージする方も多いかもしれませんが、実は株式の購入は投資であると同時に出資でもあります。投資の一つに出資があり、さらにその中の一つに株式購入があるという位置付けです。

出資は投資の一部ですが、必ずしも投資=出資とは限らないことに注意しましょう。

出資と融資、どちらを選ぶべき？

出資と融資の決定的な違いは、返済義務を負うか負わないか、経営権を握られる可能性があるか否かです。この2点を踏まえて、出資と融資のどちらが自社に適しているか迷うときは、両者のメリット・デメリットを比較する必要があります。

以下、出資と融資それぞれのメリット・デメリットをまとめました。

出資を受けるメリット

出資を受けるメリットの一つは、返済の必要がないことです。融資を受けた場合は、借金となるため元利合わせて返済をしなければならないため、返済計画をしっかり立てる必要があります。また融資は受けると同時に負債が増えますが、出資の場合は財務諸表上で資産が増えます。

さらに、出資を受ける側がアピールできる要素を有している場合、多額の資金調達をしやすいのもメリットです。特に新しい技術やアイデア、優秀な人材は将来的に大きな利益を生み出す可能性があるため、出資者の目に対して魅力的に映りやすいです。

加えて出資者の中に経営の経験者がいる場合、経営のアドバイスが受けられる可能性が高いでしょう。元々出資者は利益を期待して資金を投じており、当該企業の経営が上向きになることを望んでいます。

出資を受けるデメリット

出資を選ぶデメリットとして、会社の経営権を奪われてしまうリスクが挙げられます。例えば、ある出資者の持株比率（議決権比率）が33.4％（1/3超）となった場合、その出資者単独で株主総会の特別決議（合併・解散、定款変更などの重要な決定事項）を否決できます。

持株比率が50.1％（1/2超）になれば、普通決議（役員報酬の変更や剰余金の配当など）を単独で可決することが可能です。さらに、持株比率が66.7％（2/3超）になると、特別決議を可決できます。

このように株式の数や持株比率によっては、出資者に経営権を譲ることになる可能性もあるため注意が必要です。

仮に経営権を奪われなくても、出資者は出資額に見合うかそれ以上のリターンを期待しているため、経営方針に口を出してくる場合があります。

参考：e-Gov法令検索. 「会社法」. “第309条第1項・第2項”

融資を受けるメリット

出資ではなく融資を選ぶメリットは、経営の自由を守れることです。出資の場合は、株式数や持株比率によっては経営権を奪われるリスクがありますが、融資の場合、返済を求められても経営に介入されることは基本的にありません。

また、借り手となる企業の信用情報に問題がなければ、多額の融資を受けられる可能性があります。特に銀行融資は審査が厳しい分、ノンバンクなどと比べて借入限度額が大きくなり、より多額の融資が受けられる可能性が高いです。

信用情報とは、自己破産や貸し倒れなど問題のある過去の取引履歴や事故情報です。こうした信用情報がクリアな企業は、金融機関から融資を受けやすくなります。

融資を受けるデメリット

出資ではなく融資を選ぶデメリットは、やはり返済の義務があることでしょう。融資を受ければ、借りたお金を返済しなければなりません。もちろん元金だけでなく金利の返済も必要です。万が一返済できない場合は、倒産したり個人が負債を背負うことになったりする可能性もあります。

また、融資を受けるには審査があるため多くの書類が必要です。融資の際の書類は、法人謄本や決算書、印鑑証明書、納税証明書など多岐にわたります。

さらに融資を受けた場合、財務諸表上は資産ではなく負債が増加したことになります。財務指標（財務状況）が悪化し、取引先や金融機関のモニタリングが厳しくなるケースもあるため注意が必要です。

主な出資者や出資の受け方

一口に出資者や受け方といっても複数の種類があるため、十分に比較検討することが大切です。主な出資者や出資の受け方には何があるのでしょうか。

以下では代表的な出資者をピックアップしました。それぞれのメリット・デメリットを考慮しながら、自社にとって理想的な出資者や出資の受け方を検討してみましょう。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタルは文字どおり、創業して間もないベンチャー企業（またはスタートアップ）に特化した投資を行っている会社です。独立系の会社も多くありますが、金融機関や証券会社の関連会社として運営している場合もあります。

いずれの形態でも、ベンチャーキャピタルは将来性のあるベンチャー企業・スタートアップをターゲットとし、リスクを取って投資（出資）を行っているのが特徴です。IPOやM&Aによって、キャピタルゲインを得ることを目的に活動しています。

出資を受ける事業者側からすると、ベンチャーキャピタルは返済なしで銀行融資より多額の運転資金が得やすくなるのがメリットです。一方契約内容が厳しくなる、出資額に見合うリターンを求められるなどのデメリットもあります。

AGビジネスサポートのグループ会社「AGキャピタル」では、中堅・ベンチャー企業への投資を積極的に行っています。単に資金を提供するだけでなく、経営コンサルティングも行っている点が強みです。十分な運転資金を得て、経営強化も図れます。

個人投資家（エンジェル投資家）

個人投資家は、ベンチャーキャピタルのような組織ではなく、個人的に企業を応援してくれる投資家です。中でも創業したばかりのベンチャー企業やスタートアップを対象としている個人投資家を、エンジェル投資家と呼びます。

エンジェル投資家には、金銭的な見返りより純粋にビジネスを応援したい気持ちで出資している方も少なくありません。その場合は買い戻しを強く求められる可能性が低く、低リスクで資金調達ができるメリットがあります。

個人投資家やエンジェル投資家の探し方は、ピッチコンテストに参加する、マッチングサイトを利用する、交流会やイベントに参加するといった方法があります。ベンチャー向けの投資を行っている経営者にDMを送るなど、直接アプローチすることも可能です。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募る資金調達方法です。クラウドファンディングには、以下のような種類があります。

他に「融資型」もありますが、返済の必要があるため、出資とは異なります。

クラウドファンディングのメリットは、資金調達の選択の幅が広がる点です。銀行融資で多額の資金調達が難しい場合でも、クラウドファンディングで多数の支援者を得ることができれば、一人ひとりは小口でも数が集まることで高額な資金調達が可能となります。

ただし、目標金額に達しない可能性もあるため、どれぐらいの支援が見込まれるか事前にリサーチしたり、目標を達成できなかった場合の代替策を考えておいたりといった準備が必要です。

AGビジネスサポートのグループ会社「AGレンディング」では、貸付型（融資型）クラウドファンディングサービスを通じて融資の提供をしています。東証プライム市場上場企業のアイフルを親会社に持ち、50年以上の貸金業のノウハウを有する点が強みです。クラウドファンディングを検討中の方はぜひチェックしてみてください。

融資の種類

出資と融資のメリット・デメリットを検討の上、融資を選んだ方がよい場合もあります。融資には、公的融資・銀行融資・ビジネスローンといった種類があるため、それぞれの特徴を比較して自社に合った方法を選ぶことが大切です。

以下では、公的融資・銀行融資・ビジネスローンの特徴とメリット・デメリットをまとめました。借入先を検討する際の参考にしてください。

公的融資

公的融資は、国や地方公共団体などの公的機関が行っている融資制度です。政府系金融機関の日本政策金融公庫や都道府県、地域の商工業者で構成される商工会議所など複数の機関が融資制度を用意しています。

公的融資のメリットは、借り入れがしやすい点です。条件にもよりますが、公的融資は民間融資と比べて金利が低く無担保で借り入れができ、審査のハードルも比較的低いとされています。

しかし、公的融資を受けるには準備すべき必要書類が多く、具体的な事業内容や長期の経営計画などもチェックされるため審査に時間がかかるデメリットがあります。

銀行融資

銀行融資とは、銀行や信用金庫から行う借入です。企業が受ける融資としてはなじみが深く一般的というイメージがあるでしょう。銀行融資には「プロパー融資」と「保証付き融資」の2種類があるため、それぞれの違いを知っておくことが大切です。

プロパー融資は、銀行が企業に対してダイレクトに貸し付ける融資です。信用保証協会を通さずに融資が受けられるため、保証料を支払う必要がない、融資額に上限がないなどのメリットがあります。ただしプロパー融資の審査は厳しいので、事業の実績がない企業が審査に通るのは困難です。

保証付き融資は、信用保証協会の保証を付ける融資です。審査はプロパー融資ほど厳しくないので実績がなくても借りられますが、保証料を支払う必要があります。

ビジネスローン

ビジネスローンとは、事業資金に特化した融資商品です。金融機関の融資商品には住宅ローンや自動車ローンも含まれますが、ビジネスローンは、開業資金・運転資金など事業資金専用となっています。

ビジネスローンのメリットは、借り入れのハードルが低いことです。審査基準が銀行融資と比べて緩く、保証人・担保は原則不要で審査もスピーディに行われます。

金利が高め、借入限度額が低いといったデメリットはありますが、開業間もない自営業者や実績の少ない中小企業経営者がスピーディに資金調達をしたい場合に適した選択肢です。

事業資金の相談はAGビジネスサポートへ

AGビジネスサポートでは、事業拡大や決算時などに必要な「つなぎ資金」に適した事業資金専用ビジネスローンを提供しています。

AGビジネスサポートの事業者向けビジネスローンは、融資のハードルや申し込みの条件が厳しくなく、急な資金調達にも対応しやすいのが特徴です。原則として無担保・無保証で借り入れできる上、最短即日融資、限度額は最高1,000万円までとなっています。

手続きの方法は、インターネット・郵送・来店・訪問のいずれかで、ネットや郵送を選択すれば来店は不要です。融資可能かどうかについても、公式サイトで無料のスピード診断を活用すれば事前に分かります。

一時的な資金繰りに困っているという場合は、ぜひAGビジネスサポートを検討してみてください。

まとめ

事業における出資は将来的な利益を期待して、会社に資金を出すことです。主に新株発行による増資がメインとなっています。返済の必要がない反面、経営権を奪われるリスクがある点には注意しましょう。

事業融資は、銀行など金融機関が会社にお金を貸し付けることです。融資を受けても経営権を奪われるリスクはありませんが、元利合わせての返済が必要であり、審査に時間がかかる場合があります。

一時的な会社の資金繰りに悩んでいる場合は、AGビジネスサポートの事業者向けビジネスローンを利用するのも一つの選択肢です。AGビジネスサポートのビジネスローンは、原則で無担保・無保証、最短即日融資が可能となっており、急な資金需要にも対応できます。

一時的な資金繰りをスピーディに解決したいときには、ぜひAGビジネスサポートにお問い合わせください。